日本人はそれぞれの「年」にも「いのち」があるものとして捉えてきました。人は生まれでたその時に、その「とし」の「いのち」(年魂)を戴くのです。「とし」(年魂)を一つ戴く(取る)、つまり「一歳」です。そして新年を迎える毎に、新たな「とし」のチカラを戴き、いのち若やぐのです。新たなチカラに満ちた「としのいのち」を取り入れる晴れやかな、希望に溢れる節目が正月です。「としを取る」「としを重ねる」ことが芽出たいのです。芽出たさの節目と云える人生儀礼は、満年齢が一般化した今日でも「数え年」で行うことが習わしとなっています。
神棚はご家庭をお守りいただく神さまをおまつりするところですから、清らかな場所を選び、南向きまたは、東向き(北向きは避ける)に設けてください。家庭におけるおまつりは、毎日丁寧に心を込めて行うことが大切です。絶対にこうでなければならないといった窮屈で堅苦しいものではなく、まつる人のこころが最も大切なのです。この心が基になって、永年の間に自然と形や作法が整ってきたのです。神棚は,家庭の中心となり、家族の心のよりどころとなるものですから、家を新築される場合や結婚して新しい家庭を営む際には是非神棚を設けられ、神々のお守りをいただいて明るく健やかな生活をいたしましょう。
神棚には伊勢の神宮のお神札(神宮大麻)、氏神神社のお神札、信仰する神様(崇敬神社)のお神札をおまつりします。神棚にお神札を横に並べておまつりするときは、中央に神宮大麻(天照皇大神宮)、向かって右に氏神神社のお神札、左に崇敬神社のお神札をおさめて下さい。また、重ねておまつりするときは、一番手前が神宮大麻、次が氏神神社、その後方に崇敬神社のお神札をおさめて下さい。なお、祖先や親族の祖霊舎は、神棚より下った位置におまつりして下さい。
また、身内に不幸があった時は、神棚に半紙を貼って毎日のお参りを中断します。亡くなった方の霊魂を祭ることに専念します。地域によって違いはありますが、概ね50日を過ぎるとおまつりを再開します。その間は、神社への参拝も遠慮します。
神棚には毎朝、食事の前に一家の主人又は代表者が、洗面し口をすすいだ後、神饌であるお米(洗米,ご飯でも良い)・塩・水をお供えします(榊の水も替える)。この毎日のおまつりを日供祭といい、家族も毎朝の洗面後、神棚のお参りを欠かさぬようにします。お参りの作法は神社参拝の作法と同じで、二拝二拍手一拝です。
国の祝日や、氏神神社・崇敬神社の祭礼日、家庭の慶事あるいは記念日などには神饌の種類と量を多くします。御神酒、魚、野菜、果物などを加えてお供えして、家族そろって感謝のお参りをしましょう。季節のものや珍しいもの、到来物などは神棚にお供えし、それをお下げして家族でいただくことが神さまの御心にかないますし、明るく和やかな家庭もこのような手振りの中から築かれることでしょう。また、日常の心得として神棚は常に清浄(拭き掃除などは神棚専用のきれいな白布)に、榊は緑を保つようにし、月末や年末は特に丁寧に掃除をいたしましょう。
新しい年を迎えるにあたり、神さまの新たな恩頼(ミタマノフユ)、つまり私たちを護って下さる生命力にあふれた神霊の力をいただくため、毎年、お神札や注連縄などの神棚の調度を新しく改めてお祭りするのが習わしです。
神宮大麻・お神札は、年の暮れまたは初詣の際、氏神神社でお受け下さい。
なお、古いお神札は氏神神社や近くの神社でお炊き上げ(左義長)いただけます。